ヒプノテラピー(催眠療法)とは、ギリシャ語の「Hypnos」=「 《ギリシャ神話》ヒュプノス、眠りの神」と、フランス語の「セラピー」=「療法」からなる造語であり、1958年に米国医師会と米国心理学会によって、効果を認められた心理療法です。
人は一日に何度も催眠状態に入っていると言われます。例えば、映画を真剣に鑑賞してる時やスポーツ観戦に熱中している時は、催眠状態といえます。とても感受性が豊かになって、自分と主人公を重ね合わせて涙したりするような、子どものようにピュアな状態です。
エンターテイメントとしての催眠ショーをテレビで見て、催眠に入ると自分の意識がなくなるのでは?と心配される方がいますが、セラピー中でもクライアントには意識があり、受け答えはコントロール可能です。
セラピーでは、仕事として催眠ショーのステージにあがるお笑いタレントさんのように振舞う必要はありませんので、ご安心下さい。
人間の意識には「意識(顕在意識)」と「無意識(潜在意識)」があるというのは、心理学を少し学んだことがある方なら聞いたことがあるかもしれません。催眠療法とは、その「意識」と「無意識」をできるだけ統合した状態で話したりカウンセリングしていくというイメージが近いかなと思います。
心理学では、「意識」と「無意識」は、よく海の中の氷山に例えられ、氷山の海面上に出ている1~2割の部分が「意識(顕在意識)」で、氷山の海面下に潜って見えない8~9割の部分が「無意識(潜在意識)」と言われています。(図1参照)
氷山全体を動かしているのは、海面上に見える氷山(意識)ではなく、普段は目に見えない海面下の氷山(無意識)と呼ばれる部分です。
人は10歳位までは、潜在意識と顕在意識は統合されていると言われていますが、大人になるにつれて、自分を守るため、潜在意識と顕在意識の間に、防御の「膜」のようなものを張り始めます。その膜は大人になるにつれて、どんどん厚くなって、壁のように潜在意識と顕在意識を分断し始めます。


そしていつのまにか目に見える海面上の一角、つまり「顕在意識」だけが自分の全体だと思って生活しているのが大半の大人かもしれません。(図2参照)
例えば「こうなりたいのに、なぜ自分はなれないのだろう?」「どうして自分は同じようなパターンを繰り返すのだろう?」「なぜ男運が悪いのだろう?」という時は、海面上の氷山=「意識(顕在意識)」は左へ行こうとしているのに、海面下の氷山「無意識(潜在意識)」が右へ進もうとするために、氷山全体であるあなた自身は、どうしていいかわからず混乱してきます。


その結果「こっちじゃないのに!」「なんでこうなるの!?」「自分の事がよくわからない」とイライラしたり、落ち込んだりしてしまうのです。そんな、ご経験はありませんか?(図3参照)
そういう時に、見るべきは自分の中。いま海面上と下で意識が分断されて彷徨っている氷山の自分です。その氷山全体が統合された状態となり、進むべき方向性も決まったら、とてもスッキリした気持ちになる。そんなメカニズムを利用した、気付きの心理療法がヒプノセラピーだと捉えて頂けると分かりやすいでしょう。