個人セッションをしていると
「昔から、これが苦手で、つい(ネガティブな結果ばかり)想像してしまって・・・」
「もしできなかったら・・と考えると、やるのがこわくなって、そのせいで上手くいかないんですが・・」
という話をよく聞きます。
人間、調子がいい時はいいのですが、苦手な事は誰にでもあるので、恋愛でも仕事でも、上手くいかなくなる経験は誰にでも起こるものです。
ただ、一旦上手くいかなくなり落ち込むと、~~が上手くいかなかったら・・に留まらず、雪崩のように、仕事がもし・・家族がもし・・結婚がもし・・会社がもし・・老後の自分がもし・・と果てしなくネガティブな妄想が広がるのも、人間というものです。
そしてリアルに何度もイメージしたものは、叶う(すごい力で叶ってしまう)。
そう、ネガティブなものに限って早く叶ったりする・・・(という経験、身に覚え無いですか?)。いや~ネガティブの力って恐ろしいものです。
イメージトレーニングでは、ネガティブな想像ではなく、上手く言ったポジティブな想像をします。そのほうが、結果的に上手くいくことは数々の実験で、もう科学的に証明されています。
しかしながら、ネガティブを無くせばいいかというと、そうではありません。
「また、もしこうなったら・・」というネガティブ思考は、バカにはできない技だということをご存知でしょうか?ネガティブ思考は、実は「賢さ」でもあるのです。
人類の歴史を紐解いてみると、それは明白な事実。太古の昔から、「もしこうなってしまったら・・」と考える力が無ければ、力の弱い人間はフラフラと危ない所にでかけて猛獣に襲われ、とっくに絶滅してしまっています。「こんなところに出て行って、猛獣に襲われたら?」とか「もし干ばつがやってきても生きるには?」とか、上手く行かなかった場合を考えるので、人間はいままで生き残ってこれたのです。
だから「もしこうなったら・・・」と考えることは、昔から備わった本能です。無くせませんし、無くす必要もありません。
過去を引き出して、「もしこうなったら・・と考える賢い本能」があるから、人間は進化できるのです。
しかし、世の中、全ての事にはプラスの面とマイナスの面があります。
お金持ちになれば、お金目当ての人がたくさん近寄ってくるとか、モデル体型に生まれたがために体目当ての人がたくさん近寄ってくるように、全ての長所は短所に繋がる危険性があることを忘れてはいけません。
賢いものは、賢いがゆえに、時々損をするのです。
ここで、賢いものは損をする事例をひとつ紹介したいと思います。
インドでは、象を調教する時に、まずは絶対に引っこ抜けないもの(竹など)に繋ぎます。
象は、最初は、自由になろうと暴れますが、何日か苦闘した結果、それが引っこ抜けないと知ります。つまり、自分の努力では自由になれないことを悟るのです。
一旦、賢い象がそう学ぶと、あとは扱いが簡単です。その後は、大きな象なら簡単に引き抜ける程の小さな杭に、象を繋いでおいても、象は逃げません。なぜなら、もう無理だと誘った賢い象は、過去の経験と、その時の無力感から、現状を受け入れるしかないと思っているからです。
あなたは賢い象になっていませんか?
もし、あなたの心の中に賢い象がいたら、なんといってあげたいですか?
「そのまま、動かないほうがいいよ」ですか? それとも違う言葉でしょうか?
何度か過去に出来なかった経験を、永遠に出来ない経験とするかどうか?は、あなたの手中にあります。
象よりも人間のほうが賢いとすれば、人間のあなたは賢い象よりもっと賢くなってしまう危険性があります。
賢い理性の役割は、「過去無理だったから、今回も無理と思い込ませること」ではなく、
「人間の賢さという強みが、うっかりマイナスに働かないように、見張ること」。
「もし、また上手くいかなかったら・・・」そう思ったら、心の中にいるあなたの賢い象を思い出してあげてください。
(^-^)